おうちで天ぷらを揚げようとホーローの鍋を用意したのに、衣が鍋底にぺったりくっついてしまった…そんな経験はありませんか。
せっかくきれいな見た目の鍋を選んだのに、揚がった天ぷらがぼろぼろになってしまうと、ちょっとしょんぼりしてしまいますよね。
「ホーローって揚げ物に向いていないのかしら」と思ってしまう方も多いのですが、実はくっつきの主な原因は鍋の材質ではなく、油の温度や量、食材の入れ方といった使い方の部分にあるんですよ。
つまり、いくつかのポイントを押さえるだけで、今お持ちのホーロー鍋のままでも、くっつきはぐっと減らしていただけるということなのですね。
この記事では、衣が張りついてしまう4つの原因から、下ごしらえと油量の整え方、揚げている最中のコツ、そしてくっついてしまったときの落ち着いた対処法まで、順を追ってお話ししていきます。
さらに、揚げたあとの焦げつきをやさしく落とす方法や、ホーローを傷めない使い方、電磁調理器での注意点、鉄製との選び方の違いまでまとめました。
読み終わるころには、次の揚げ物がちょっと楽しみになっているはずですよ。
この記事でわかること
- ホーロー天ぷら鍋で衣や食材がくっついてしまう主な原因
- 下ごしらえ・油量・油温など、くっつきを防ぐ具体的な使い方
- くっついたときの対処法と、焦げつきをやさしく落とす片づけの手順
- ホーロー鍋を長持ちさせる注意点と、鉄製との選び方の違い
ホーロー天ぷら鍋がくっつく主因は材質よりも油温や油量などの使い方

ホーローの天ぷら鍋で衣がくっついてしまうとき、その原因の多くは鍋の材質そのものではなく、油の温度や量、食材の入れ方といった使い方の部分にあります。
ホーローは表面がガラス質でつるりとしていますが、食材が絶対に張りつかない加工ではないため、条件がそろえばどうしても鍋底に触れた衣が留まってしまうのです。
逆にいえば、使い方のポイントを押さえておけば、ホーローの鍋でも気持ちよくからりと揚げられるということですね。
まずはこのセクションで、ホーローという素材の性質と、「くっつく」と「焦げ付く」の違いを整理しておきましょう。
ホーロー表面は食材が付着しない加工ではない
ホーローは、鉄などの金属の下地にガラス質の釉薬を焼き付けてつくられた素材です。
見た目がなめらかで光沢があるため、油をはじいてくれそうな印象を持つ方も多いのですが、ガラス質の表面は「汚れが落ちやすい」性質であって、「食材がくっつかない」性質ではありません。
いわゆる樹脂加工のフライパンのように、食材との間に滑る層をつくる仕組みではないため、衣が半熟のまま鍋底に触れれば、そのまま張りついてしまうことがあります。
混同されやすい素材の性格を、ざっくり比べてみますね。
| 素材 | 表面の性格 | くっつきやすさの傾向 |
|---|---|---|
| ホーロー | ガラス質でなめらか、においや汚れが残りにくい | 油温が下がると衣が張りつくことがある |
| 樹脂加工 | 食材がすべりやすい層がある | くっつきにくいが高温での使用には注意が必要 |
| 鉄 | 油がなじむと表面に膜ができる | 使い込むほどくっつきにくくなる傾向 |
つまり、ホーローの鍋で衣が張りついたとしても、それは鍋の不良でも失敗でもなく、素材の性質どおりの反応が出ているだけということなんです。
ホーローには、油のにおいが残りにくい、色移りしにくい、洗ったあとに清潔を保ちやすいといった、揚げ物鍋としてうれしい持ち味があります。
その良さを活かすためにも、「くっつかない加工ではない」という前提で使い方を整えてあげるのが近道です。
くっつきと焦げ付きは原因が異なる
お手入れのしかたを考えるうえで大切なのが、「くっつき」と「焦げ付き」は別のできごとだと知っておくことです。
同じように鍋底に残ってしまうので混同されがちですが、起こる理由も、防ぎ方も変わってきます。
- くっつき…衣がまだ固まりきらないうちに鍋底へ触れ、そのまま張りついてしまう状態。白っぽいまま底に残ることが多い。
- 焦げ付き…鍋底に残った衣のかけらや油が長く加熱され続け、黒っぽく炭のように変化して固着した状態。
くっつきは揚げ始めの数十秒で決まることがほとんどで、油の温度や食材を入れるタイミングが関係します。
一方の焦げ付きは、揚げているあいだに落ちた衣を取り除かないまま加熱を続けたり、油が少ない状態で高温にしたりしたときに、時間をかけて進んでいきます。
整理すると、次のようなイメージです。
| 項目 | くっつき | 焦げ付き |
|---|---|---|
| 起きるタイミング | 食材を入れた直後 | 揚げている途中から後半 |
| 見た目 | 白〜きつね色の衣が張りつく | 黒っぽく硬くなって固着する |
| おもな向き合い方 | 入れ方や温度の管理 | 揚げかすの処理と加熱の加減 |
ご自分の鍋で起きているのがどちらなのかが分かると、「衣の入れ方を変えてみよう」「揚げかすをこまめにすくおう」と、手の打ちどころがはっきりしてきます。
どちらも使い方の見直しでぐっと減らせるものですから、鍋を買い替えなくちゃ、と焦らなくて大丈夫ですよ。
次の項目からは、実際にどんな場面で衣が張りついてしまうのか、その具体的な場面を見ていきましょう。
衣や食材が鍋底にくっつく主な原因
衣や食材が鍋底に張りついてしまう原因は、大きく分けて「油の温度」「油の量」「食材と衣の状態」「入れ方」の4つに集約されます。
どれもホーローという材質そのものの問題ではなく、揚げる直前から数十秒のあいだの条件で決まってくるものです。
言いかえれば、この4つを整えるだけで、同じ鍋のままでもくっつきはぐっと減らせるということなんですよ。
ここでは、それぞれの原因がどうしてくっつきにつながるのかを、順番に見ていきましょう。
油の温度不足や温度ムラ
もっとも多い原因が、油が十分に温まっていないまま食材を入れてしまうことです。
天ぷらの衣は、熱い油に触れた瞬間に水分が一気に蒸発して、表面が固まっていきます。
この「固まる」までのわずかな時間に鍋底へ触れてしまうと、まだやわらかい衣がそのまま張りついてしまうんですね。
油の温度が低いと衣が固まるまでに時間がかかるため、沈んでいる時間が長くなり、そのぶん底に触れる可能性も高くなります。
また、見落とされがちなのが温度のムラです。
ホーローの鍋は下地の金属にガラス質の釉薬をかけたつくりのため、加熱を始めた直後は火の当たる中心部と外周とで温まり方に差が出やすい傾向があります。
強火で一気に加熱すると、中心だけが熱くなって周囲はまだぬるい、という状態になりがちです。
そのため、中火程度でゆっくり温め、全体に熱が回ってから使い始めることが大切になります。
温度の目安がわかりにくいときは、次のような方法で確かめてみてくださいね。
| 確かめ方 | まだ低いとき | ちょうどよいとき |
|---|---|---|
| 衣を少し落とす | 底まで沈んでなかなか浮いてこない | 途中まで沈んですぐに浮き上がる |
| 菜箸を入れる | 泡がほとんど出ない | 箸先から細かい泡が続けて出る |
| 温度計を使う | 150度前後かそれ以下 | 170〜180度前後 |
温度計があるといちばん確実ですが、なくても衣や菜箸で十分に判断できますよ。
油が少ない揚げ焼きの状態
油の量が少ない、いわゆる揚げ焼きの状態も、くっつきが起こりやすい場面です。
油が浅いと食材が浮くための深さが足りず、入れた食材がそのまま鍋底に着地してしまうからです。
衣が固まる前に底に押しつけられる形になるため、張りつくのはある意味で自然なことなんですね。
さらに、油の量が少ないと温度が下がりやすくなるという問題もあります。
冷たい食材を入れたときに油全体の温度が一気に落ち込み、先ほどの「温度不足」の状態を招いてしまうのです。
油を節約したい気持ちはよくわかりますが、少なすぎる油はかえって失敗のもとになりがちです。
- 食材が油の中でしっかり泳げる深さがあるか
- 食材を入れたときに油面が上がりすぎないか
- 鍋の縁まで余裕が残っているか
このあたりを目安に、鍋の大きさに見合った量を入れておくと安心です。
どうしても少なめの油で作りたいときは、食材を入れたらすぐに菜箸で軽く持ち上げるようにすると、底との接触時間を短くできますよ。
食材に残った水分と衣の濃さ
食材の表面に水分が残っていること、そして衣がゆるすぎることも、くっつきに直結します。
洗ったあとの野菜や解凍した魚介をそのまま使うと、表面の水分が油の中で激しく反応し、衣がうまく密着しないまま剥がれ落ちてしまいます。
剥がれた衣は当然、鍋底へ沈んでいきますし、衣の薄くなった食材はむき出しの部分から底に触れて張りつきやすくなります。
ですから、食材の水気をていねいに拭き取ることは、それだけでくっつき対策になるんです。
もうひとつが衣の濃さです。
水分が多くゆるい衣は、油に入れてもすぐには固まらず、たれるように広がってしまいます。
広がった衣は薄く伸びるため熱で固まるまでの支えがなく、そのまま底に着地してくっついてしまうというわけです。
| 衣の状態 | 揚げたときの様子 |
|---|---|
| ゆるすぎる | 油の中で散ってしまい、食材から剥がれやすい |
| ちょうどよい | 食材にとどまり、短時間で表面が固まる |
| 濃すぎる | もったりと重くなり、火の通りに時間がかかる |
菜箸ですくったときに、とろりと線を描きながら落ちるくらいが目安になります。
混ぜすぎると粘りが出てしまうので、粉っぽさが少し残る程度でさっくりと合わせてくださいね。
でんぷん質の多い食材や一度に入れすぎること
さつまいもやじゃがいも、れんこんといったでんぷん質の多い食材は、ほかの食材よりも底に張りつきやすい性質があります。
切ったときに表面へ出てきたでんぷんが、加熱によって粘りを持ち、鍋底に密着してしまうためです。
こうした食材は切ったあとに水にさらして表面のでんぷんを落とし、しっかり水気を拭き取ってから衣をつけると、かなり違ってきますよ。
そしてもうひとつ、案外多いのが一度にたくさん入れすぎてしまうことです。
まとめて揚げたほうが早いように思えますが、冷たい食材が一度に入ると油の温度が急激に下がってしまいます。
温度が下がれば衣は固まりにくくなり、結果として底に張りつくものが増えてしまうのです。
また、食材同士がぶつかって衣が剥がれたり、くっついて団子のようになったりすることもあります。
目安としては、次のくらいを心がけてみてください。
- 油の表面積の半分程度までにとどめる
- 食材同士が触れ合わない間隔をあける
- 次を入れる前に油の温度が戻るのを待つ
急がば回れで、少しずつ揚げたほうが仕上がりもきれいですし、後片づけもぐんと楽になります。
ここまでの4つの原因を振り返ると、どれもちょっとした準備と心づかいで避けられるものばかりだとお分かりいただけると思います。
次からは、この原因をふまえて、実際にどんな準備をしておけばよいのかを具体的に見ていきますね。
下ごしらえと適切な油量でくっつきにくくできる

ホーローの天ぷら鍋で食材がくっつくのを防ぎたいなら、揚げ始めるより前の下ごしらえと油の量を整えることがいちばんの近道です。
具体的には、食材の水分をしっかり拭き取ること、衣を揚げる直前に作ること、食材が底に触れ続けない油量を入れることの3つが基本になります。
どれも特別な道具はいりませんし、慣れてしまえば数分で終わる準備ばかりですよ。
逆にいうと、この3つが崩れていると、どんなに良い鍋を使っていても衣は底に張りつきやすくなってしまいます。
ここからは、ひとつずつ順番に見ていきますね。
食材の表面にある水分を丁寧に拭き取る
まず取りかかっていただきたいのが、食材の表面についた水分を拭き取ることです。
水分が残ったまま衣をつけると、衣が食材にうまく密着せず、油の中でずるりと剥がれやすくなります。
剥がれた衣はそのまま鍋底に落ち、まだ固まりきっていない状態で底に触れるため、そこで張りついてしまうのです。
さらに、水分は油に入った瞬間に激しく蒸発するので、油はねの原因にもなります。
キッチンペーパーで押さえるように拭くのがコツで、こすってしまうと食材の表面が傷んでしまうので気をつけてくださいね。
食材別の水気の取り方は、次のように覚えておくと迷いません。
| 食材 | 水気を取るポイント |
|---|---|
| えび・いか | 洗ったあと、キッチンペーパーで包んで数分おく |
| 白身魚 | 両面を押さえ、腹側の水分も忘れずに拭く |
| なす・かぼちゃ | 切り口が湿っていたら軽く押さえる |
| しいたけ | 洗わずに汚れを拭き取る程度にする |
| 大葉・青じそ | 洗ったあと1枚ずつ広げて水気を切る |
また、冷蔵庫から出したばかりの食材は表面が結露していることがあります。
揚げる10分ほど前に取り出しておくと、温度差がやわらぎ、水分も落ち着いて扱いやすくなりますよ。
水気を拭いたあと、薄く小麦粉をまぶしてから衣をつけると、衣がさらに密着しやすくなります。
この「打ち粉」をひと手間加えるだけで、衣の剥がれ方がずいぶん変わってくるので、ぜひ試してみてください。
衣は揚げる直前に作り薄くしすぎない
衣は、食材の準備がすべて整ってから、揚げる直前に作るのがおすすめです。
早めに作って置いておくと、小麦粉の粘りが出てもったりしたり、逆に時間の経過で粉と水が分離したりして、食材にうまくまとわりつかなくなってしまいます。
とくに気をつけたいのが、衣を水っぽく薄く作りすぎてしまうことです。
さらりとした衣は上品に仕上がりそうに思えますが、薄すぎると油に入れた瞬間に流れ落ちてしまい、食材そのものが鍋底に触れる時間が長くなります。
食材が直接底に当たれば、それだけ張りつきやすくなってしまうというわけですね。
衣を作るときは、次の点を意識してみてください。
- 冷たい水を使い、粉は使う直前にふるっておく
- 菜箸で大きく切るように混ぜ、粉が少し残る程度で止める
- すくったときにゆっくり落ちて、線が残るくらいのとろみにする
- 混ぜすぎて粘りを出さない
- 作り置きせず、量が足りなくなったら都度作り足す
とろみの目安がつかみにくいときは、食材を一つくぐらせてみて、表面が透けて見えない程度に衣がまとわりついているかを確認するとわかりやすいですよ。
衣がすぐに流れ落ちてしまうようなら、粉を少し足して調整しましょう。
反対に、厚くつきすぎて重たそうなときは、水を少量ずつ加えてゆるめてください。
なお、衣をつけた食材はそのまま置かず、くぐらせたらすぐ油へが基本です。
置いておく時間が長いと、食材から出た水分で衣がゆるんでしまい、せっかくの下ごしらえが台なしになってしまいます。
食材が鍋底に触れ続けない油量を確保する
そして意外と見落とされがちなのが、油の量です。
油が少ないと食材が鍋底に沈んだまま動けず、衣が固まる前に底へ密着してしまいます。
節約のつもりで油を控えると、かえって焦げつきや後片づけの手間が増えてしまうことも多いのです。
食材がしっかり浮かぶだけの油量を入れることが、くっつき防止のいちばん確実な方法と言ってもよいくらいですよ。
目安としては、次のように考えてみてください。
| 確認するところ | 目安 |
|---|---|
| 油の深さ | 食材の厚みの2倍以上を目安にする |
| 鍋の容量に対して | 鍋の深さの半分ほどまでにとどめる |
| 食材の沈み方 | 入れて数秒で浮き上がってくる状態 |
| 入れすぎの注意 | 油面が高すぎるとふきこぼれや油はねの心配がある |
お使いの鍋に注ぎ口や目盛りがある場合は、表示されている適量を守るのがいちばん安心です。
多すぎても少なすぎても具合が悪いので、鍋の深さの半分程度をひとつの基準にしておくとよいでしょう。
また、油の量が十分にあると温度も下がりにくくなります。
油の量が多いほど熱を蓄える力があるため、食材を入れたときの温度の落ち込みがゆるやかになり、衣が早く固まってくれるのです。
結果として、底に張りつく前に食材がふわりと浮き上がってくれるようになりますよ。
小さめの鍋で少量ずつ揚げる場合も、深さだけはしっかり確保しておくと安心です。
ここまでの下ごしらえと油量の準備が整えば、揚げているあいだの扱いもぐっと楽になります。
油温を保ち、衣が固まるまで触らないのが上手に揚げるコツ
揚げているあいだのくっつきを防ぐいちばんのコツは、170~180度前後の油温を保つことと、入れた直後は箸で触らないことの2つです。
この2つさえ守れば、衣は数十秒で固まり、食材はふわりと浮き上がってきてくれます。
反対に、油温が低いまま食材を入れたり、沈んだのが心配で何度もつついたりすると、固まりきっていない衣がはがれて鍋底に張りついてしまうのです。
ここでは、揚げている最中に気をつけたいポイントを順番に見ていきましょう。
天ぷらは食材に合わせて170~180度前後を目安にする
天ぷらの適温は、一般的に170~180度前後とされています。
この温度帯だと、衣に含まれた水分が一気に蒸発して、短い時間でカラッと固まってくれます。
衣が早く固まるということは、それだけ鍋底に張りつく時間が短くなるということですね。
ただし、食材によって向いている温度は少しずつ違います。
| 食材の種類 | 目安の温度 | ひとこと |
|---|---|---|
| 葉物野菜(大葉・春菊など) | 160~170度前後 | 低めでさっと。色よく仕上がりやすい |
| 根菜(さつまいも・れんこんなど) | 160~170度前後 | 中まで火を通したいのでやや低めでじっくり |
| えび・いか・白身魚 | 175~180度前後 | 高めで手早く。水分が多いので油はねに注意 |
| かき揚げ | 170度前後 | 形がまとまるまで動かさないのがコツ |
温度を確かめる簡単な方法として、衣を少しだけ油に落としてみるやり方があります。
- 底まで沈んでゆっくり浮いてくる…160度くらい
- 途中まで沈んですぐ浮いてくる…170~180度くらい
- 沈まずに油の表面で散る…190度以上で高すぎる
沈んだきり浮いてこないときは、まだ温度が足りていないサインです。
この状態で食材を入れると、衣が固まる前に鍋底へ落ち着いてしまい、くっつきの原因になります。
あわてず、もう少し温まるのを待ってから揚げはじめてくださいね。
食材は静かに入れて一度に詰め込まない
食材を入れるときは、鍋のふちから油面に近づけて、すべらせるようにそっと入れましょう。
高いところからぽとりと落とすと、勢いで食材がまっすぐ底まで沈んでしまい、衣が固まる前に鍋肌へ密着してしまいます。
油はねを防ぐという意味でも、低い位置から静かに入れるのが安心です。
そしてもうひとつ大切なのが、一度に入れる量です。
たくさん入れれば早く終わりそうな気がしますが、実はこれが失敗のもとになります。
| 入れすぎると起こること | くっつきへの影響 |
|---|---|
| 油の温度が一気に下がる | 衣が固まるまでの時間が長くなる |
| 食材どうしがぶつかる | 衣がはがれて鍋底に残る |
| 食材が動くすき間がない | 沈んだまま浮き上がれない |
| 衣が余分に散らばる | 細かいかすが焦げつきの元になる |
目安としては、油の表面の半分より少なめを意識してみてください。
「まだ入りそう」と思うくらいでちょうどよい量です。
少しずつ揚げたほうが温度が安定するので、結果的に手早くきれいに仕上がりますよ。
鍋底に沈んだ直後は箸で無理に動かさない
食材を入れた直後に沈んでしまうと、つい箸ではがしたくなりますよね。
でも、ここで動かしてしまうのがいちばんよくないのです。
入れたばかりの衣はまだやわらかく、水分をたっぷり含んだ状態です。
この段階で箸を入れると、衣だけが鍋底に残ってはがれ、食材は裸のまま揚がってしまいます。
そして鍋に残った衣が焦げついて、後片づけが大変になってしまうのです。
衣は油に入れてからおよそ20~30秒ほどで表面が固まりはじめます。
その間は手を出さず、じっと待ちましょう。
- 食材を静かに入れる
- 泡の音が変わるまで、そのまま20~30秒ほど待つ
- 衣の表面が白っぽく固まったのを目で確認する
- 箸で軽く触れて、抵抗なく動くようなら裏返す
- 動かないときは、さらに数秒待ってからもう一度試す
触れてみてひっかかる感じがあるときは、まだ固まりきっていない合図です。
無理に力を加えず、もう少しだけ時間をおいてくださいね。
多くの場合、衣が固まると食材のほうから自然に浮き上がってきます。
待つだけできれいにはがれるのですから、あわてずゆったり構えるのがいちばんです。
IHでは火力を急に上げず温度計も活用する
電磁調理器で天ぷらを作るときは、火力を段階的に上げていくことを心がけましょう。
いきなり強い設定にすると、鍋底だけが先に熱くなり、油全体には熱がまわりきらないことがあります。
すると、表示上は温まっているように見えても、実際には油の上のほうが冷たいまま、ということが起こりやすいのです。
また、急な加熱はホーローの表面にも負担がかかります。
中火程度からゆっくり温め、様子を見ながら調整していくのが安心ですね。
そして電磁調理器では、食材を入れたときに自動で火力が上がる機能が働くこともあります。
便利な半面、思ったより温度が高くなりすぎることもあるので、調理用の温度計をひとつ用意しておくと心強いですよ。
- 油の中ほどの深さで測る(鍋底に直接あてない)
- 食材を入れる直前と、揚げている途中の2回確認する
- 温度が下がったら、次を入れる前に戻るまで待つ
- 揚げ物モードがある機種は、まずその設定を試してみる
温度が目に見えるだけで、「まだ早いかな」という迷いがなくなります。
くっつきの多くは温度不足から生まれますから、数字で確かめられるのは大きな安心につながりますね。
それでも、ときには衣が底に張りついてしまうこともあります。
そんなときの対処も知っておくと、あわてずにすみますよ。
くっついた天ぷらは衣が固まってからやさしくはがす

鍋底に天ぷらがくっついてしまったときは、すぐに引きはがそうとしないことがいちばんの近道です。
衣がしっかり固まるまで待てば、多くの場合は自然にふわりと浮き上がってきます。
あわてて動かすほど衣がはがれて、鍋底に残ってしまうものなのですね。
ここでは、くっついてしまったときの落ち着いた対処のしかたを、順を追ってお話ししますね。
無理に引っ張らず周囲から箸を入れる
くっついた天ぷらを見つけると、つい菜箸でぐいっと持ち上げたくなるものです。
けれど、まだ衣がやわらかい状態で引っ張ると、衣だけが鍋底に取り残されて食材がむき出しになってしまいます。
そうなると見た目も残念ですし、残った衣が焦げて、次に揚げるものにまで色移りしてしまうこともあるのです。
ですから、まずは十数秒ほどそのまま待つのがおすすめです。
油の中で衣の表面が固まってくると、鍋底との接している面もだんだんはがれやすくなっていきます。
そのうえで、天ぷらの真ん中ではなくふちのほうから箸先をそっとすべり込ませるようにしてみてください。
持ち上げるのではなく、横に軽くゆらす気持ちで動かすと、思いのほかするりと離れてくれますよ。
このときに気をつけたいのが、使う道具です。
| 道具 | ホーロー鍋との相性 |
|---|---|
| 木製・竹製の菜箸 | 表面を傷つけにくく、いちばん安心して使えます |
| 耐熱樹脂のトング | やわらかく当たるので、鍋底をこすっても負担が少なめです |
| 金属製の菜箸・フライ返し | 先が硬く、力を入れると表面を傷めることがあります |
ホーローの表面はガラス質でできていますから、硬い金属で強くこするのは避けたいところです。
「はがれない」と感じたときほど、道具ではなく時間に助けてもらう、と覚えておくと気持ちが楽になりますね。
火力と油温を整えて自然に離れるのを待つ
衣がなかなか固まらないときは、油の温度が下がっているサインかもしれません。
食材を入れた直後は油の温度がすっと下がりますから、そのタイミングで底に触れると、衣が生のまま張りついてしまうのです。
そんなときは、まず火力をほんの少しだけ上げて、温度が戻るのを待ちましょう。
ただし、一気に強火にするのは避けてくださいね。
急な加熱は鍋にも油にも負担になりますから、ひと目盛りずつ上げるくらいがちょうどよい加減です。
温度が戻ってくると、衣の周りから出る泡が細かく軽やかに変わってきます。
その変化が、そろそろ動かしてよいという合図になりますよ。
- 大きな泡がゆっくり出ている……まだ衣がやわらかい状態なので触らない
- 細かい泡がにぎやかに出はじめた……衣が固まりつつある頃合い
- 泡が小さくなり音が軽くなった……そっと動かしてみてよいタイミング
また、くっついた天ぷらを気にするあまり、ほかの食材を入れすぎてしまうのもよくあることです。
鍋の中がぎゅうぎゅうになると温度が戻りにくくなり、結果としてくっつきがさらに増えてしまいます。
一度に入れるのは油の表面の半分ほどまでにとどめて、余裕をもたせておきましょう。
待っているあいだは、揚げている面がきつね色になっているかを目で確かめる時間にあててくださいね。
崩れやすいときは網じゃくしで支える
かき揚げや白身魚のように、もともと形がまとまりにくいものは、離れた瞬間にほろりと崩れてしまうことがあります。
そんなときに頼りになるのが、網じゃくしです。
菜箸だけだと一点で支えることになりますが、網じゃくしなら面で受け止められるので、崩れかけた衣もそのまま持ち上げられます。
使い方はむずかしくありません。
- 天ぷらの下に、網じゃくしを浅い角度でそっとさし込みます
- 反対の手に持った菜箸で、上から軽く押さえて位置を安定させます
- 網じゃくしを水平のまま、ゆっくり持ち上げます
- 油を切ってから、そのままバットや網の上へ移します
網じゃくしを差し込むときは、鍋底に押しつけずにすべらせる感覚を大切にしてください。
ホーローの表面をこすらずにすみますし、衣にも余計な力がかかりません。
それでも一部が鍋底に残ってしまったときは、無理に追いかけなくても大丈夫です。
そのままにしておくと焦げてしまいますから、揚げ物のあいまに網じゃくしで小さな衣をすくい取っておくと、油もきれいなまま保てますよ。
この小さなひと手間があるだけで、最後に揚げるものまでからりと仕上がります。
くっついてしまったこと自体は、けっして失敗ではありません。
待つ、支える、すくうという三つの動きを覚えておけば、次からはずいぶん気持ちに余裕が生まれるはずですよ。
焦げ付きや衣のこびり付きはふやかしてから落とす
揚げ物のあとに鍋底に残ってしまった焦げや衣は、力を入れてこすらず、お湯でふやかしてからやさしく落とすのがいちばんの近道です。
ホーローはガラス質の層でおおわれているので、硬いもので削るとその層に細かな傷が入り、かえって次からくっつきやすくなってしまいます。
つまり、洗うときに大切なのは「取る力」ではなく「ゆるめる時間」なのですね。
ここでは、揚げ終わったあとの片づけの流れを、順を追ってお話ししていきます。
鍋が冷めてからぬるま湯と中性洗剤で洗う
まず覚えておいていただきたいのが、熱いうちに水をかけないということです。
高温になった鍋にいきなり冷たい水が触れると、急な温度差でホーローの層に負担がかかってしまいます。
油はねの危険もありますから、揚げ終わったらコンロの火を止めて、鍋にさわれるくらいまでゆっくり冷ましてあげてくださいね。
冷めるのを待つあいだに、揚げたてを味わっていただくくらいの気持ちでちょうどよいと思います。
油の温度が下がったら、次のような流れで進めていきます。
- 鍋の中の油を、油こし器やオイルポットに移す
- 鍋に残った油分を、キッチンペーパーでざっとふき取る
- ぬるま湯を注ぎ、中性洗剤を数滴たらす
- やわらかいスポンジで、内側から外側へと洗う
- すすいだあと、乾いた布で水気をふき取る
先に油をふき取っておくと、洗剤の量も水の量も少なくてすみますし、排水口への負担もぐっと軽くなります。
洗うときのお湯は、手で触れて心地よいと感じるくらいの温度で十分です。
熱すぎるお湯はやけどのもとになりますし、油汚れを落とすだけならぬるま湯でも力を発揮してくれます。
そして意外と大切なのが、最後に水気をしっかりふき取ることです。
ホーローの表面はさびに強いのですが、フチや持ち手の付け根など、コーティングが薄い部分に水滴が残ったままだと、そこから傷みが出やすくなります。
洗ったあとに乾いたふきんでさっとひとふきしておくだけで、鍋の見た目が長くきれいに保てますよ。
落ちにくい汚れはお湯でやわらかくする
スポンジでなでても取れない焦げがあったときは、こするのではなく、つけ置きに切り替えるのが正解です。
こびり付いた衣は、水分を含むとふくらんでやわらかくなり、鍋底との境目がゆるんでいきます。
そこまで待ってからスポンジを当てれば、ほとんど力を入れずにするりとはがれてくれます。
やり方はとても簡単です。
- 鍋に、焦げが隠れる高さまでぬるま湯を注ぐ
- 中性洗剤を少し加えて、しばらくそのまま置いておく
- 汚れがふやけたら、スポンジややわらかいへらでそっと押し出す
置いておく時間の目安は、軽い汚れなら十数分ほど、しっかり固まってしまったものなら三十分から一時間ほどをみておくと安心です。
食後の片づけのはじめにお湯を張っておいて、食卓を整えているあいだに待つ、という流れにすると気になりませんね。
それでも取れないほど頑固な焦げには、湯を張った鍋を弱火で温める方法もあります。
ただし、このときはいくつか気をつけたい点があります。
| やってよいこと | 避けたいこと |
|---|---|
| たっぷりの湯を入れてから弱火にかける | 水がほとんど入っていない状態で火にかける |
| 沸いたら火を止めて、そのまま冷ます | 強火で一気に煮立たせる |
| 冷めてからスポンジでこする | 熱いうちに流し台で冷水をかける |
お湯の量が少ないまま加熱すると、空焼きに近い状態になってしまいますので、そこだけは気をつけてくださいね。
また、焦げ落としというと重曹を思い浮かべる方も多いのですが、ホーロー鍋の場合はお手持ちの製品の取扱説明書にしたがうのがいちばん確かです。
メーカーによって、使ってよい洗剤や避けたい成分の案内が異なることがありますから、迷ったときは一度確認しておくと安心して使い続けられます。
研磨剤や金属たわしを避けて柔らかいスポンジを使う
洗い物の道具選びは、ホーロー鍋を長持ちさせるうえでとても大きな分かれ道になります。
結論からお伝えすると、表面を削る力のあるものは使わないと決めてしまうのがいちばんわかりやすいですね。
ホーローのなめらかな層に細かい傷が入ると、そこに衣や油がひっかかるようになり、「前より焦げつくようになった気がする」という状態を招いてしまいます。
道具ごとに整理してみましたので、シンクまわりを見直すときの参考にしてみてください。
| 道具 | 向き不向き | ひとこと |
|---|---|---|
| やわらかいスポンジ | ふだん使いに向く | やさしい面を鍋の内側に当てる |
| ふきん・キッチンペーパー | 油分のふき取りに向く | 洗う前のひと手間に |
| 木やシリコーンのへら | ふやかした汚れを押し出すのに向く | 角を立てずに寝かせて使う |
| 金属たわし・ナイロンの硬い面 | 避けたい | 表面に細かな傷が入りやすい |
| 研磨剤入りのクレンザー | 避けたい | つやが失われる原因になる |
スポンジは、両面のうちやわらかい側だけを鍋に当てるようにすると迷いません。
硬い面はどうしても表面をこすってしまいますので、ホーロー鍋専用のスポンジを一つ用意しておくのもよい方法です。
また、洗ったあとの収納にも少しだけ気を配ってみてください。
- 鍋を重ねるときは、あいだにふきんや紙をはさむ
- ふちどうしがぶつからないよう、そっと置く
- しっかり乾かしてからしまう
ホーローは金属どうしがぶつかると、その衝撃で表面が欠けてしまうことがあります。
洗い方だけでなくしまい方まで気を配ってあげると、鍋のつやがきれいなまま続いていきますよ。
片づけはついつい急ぎたくなる時間ですが、ふやかして、やさしく落として、乾かすという三つを守っていただければ、次に天ぷらを揚げるときにもきっと気持ちよく使えるはずです。
空焼き・急加熱・金属器具を避けるとホーローを傷めにくい

ホーロー天ぷら鍋を長くきれいに使うために気をつけたいのは、空焼き・急な温度変化・金属の道具という三つです。
この三つを避けるだけで、表面のガラス質が傷みにくくなり、結果として食材がくっつきにくい状態も保ちやすくなります。
ホーローは金属の土台にガラス質を焼き付けた素材ですので、急な負担が加わるとそこから小さな欠けやひびが生まれてしまうことがあるのですね。
まずは、日ごろのちょっとした動作を見直すところから始めてみましょう。
| 避けたい行動 | 起こりやすいこと | 代わりにしたいこと |
|---|---|---|
| 油を入れずに火にかける | 表面に負担がかかる | 油を入れてから点火する |
| いきなり強火にする | 温度が急に上がり負担になる | 中火程度からゆっくり温める |
| 金属のトングや菜箸でこする | 細かな傷が入りやすい | 木や竹、シリコーンの道具を使う |
| 熱いまま流しに置く | 急な冷えで負担がかかる | 粗熱が取れるまで待つ |
とくにうっかりしやすいのが、油を注ぐ前に火をつけてしまう場面です。
「先にコンロをつけておこう」という気持ちはよくわかるのですが、ホーロー鍋は必ず中身を入れてから加熱すると覚えておいていただけると安心です。
揚げ物の道具も、揚げ網やバットに移すときは金属のものを使いがちですが、鍋の中で食材を返すときだけは木や竹の菜箸に持ちかえる、という使い分けがおすすめですよ。
熱い鍋へ急に水をかけない
揚げ物のあと、熱いままの鍋に水をかけるのは避けてください。
これはホーローがもっとも苦手とする急な温度差にあたり、表面のガラス質にひびが入る原因になります。
油の後片づけは早く済ませたくなりますが、ここは少しだけ待つ時間をつくってあげましょう。
- 火を止めて、鍋はコンロの上に置いたままにする
- 油が触れられる程度まで冷めたら、油こし器などに移す
- 鍋に残った油分をキッチンペーパーでふき取る
- 鍋全体がぬるいくらいまで下がってから洗う
目安としては、鍋の外側に手をかざしてほんのり温かい程度まで下がってから、というくらいでちょうどよいと思います。
また、うっかりやってしまいがちなのが、揚げている途中に水分の多い食材を勢いよく落としてしまうことです。
これは油はねの面でも危ないですし、鍋にとっても負担になりますので、食材はできるだけ鍋のふちに近いところから静かにすべらせるように入れてあげてくださいね。
反対に、冷蔵庫から出したばかりの冷たい鍋をいきなり強火にかけるのも同じ理由で避けたいところです。
冷たい季節はとくに、少し室温になじませてから火にかけると鍋にやさしくなります。
表面の傷や欠けは状態と取扱説明書を確認する
もし表面に傷や欠けを見つけたら、まずはお手持ちの鍋の取扱説明書を確認していただくのがいちばん確実です。
ホーロー製品はメーカーごとに厚みや仕上げが違いますので、使い続けてよい範囲の考え方もそれぞれ異なります。
その上で、ご自身でも状態を見分けやすいように、目安を整理してみました。
| 見つけた状態 | 考え方 |
|---|---|
| 細かい線のような傷 | 使用による自然な変化のことが多い。様子を見ながら使う |
| 表面が小さく欠けている | 広がることもあるため、説明書やメーカーの案内を確認する |
| 欠けた部分から下地の金属が見えている | 水分や油分が触れる部分のため、買いかえも含めて検討する |
| 底に大きなへこみやゆがみがある | 加熱時のむらにつながるため、使用を控える |
とくに気をつけたいのは、下地の金属がのぞいている場合です。
そこはガラス質に守られていない部分ですので、油や水分に触れると変化が進みやすくなります。
「まだ使えそうだから」と迷うお気持ちもわかるのですが、高温の油を扱う天ぷら鍋という道具の性質を考えると、無理をせず新しいものを迎えるほうが安心して料理を楽しめます。
購入からあまり経っていない場合は、メーカーの問い合わせ窓口に写真を添えて相談してみると、丁寧に案内してもらえることも多いですよ。
変色や落ちない汚れがある場合の見分け方
洗っても落ちない色の変化があると、傷んでしまったのではと心配になりますよね。
ですが、変色のすべてが劣化というわけではありませんので、まずは落ち着いて見分けてみましょう。
見分けるときのポイントは、指でなぞったときの手ざわりです。
- 表面がなめらかで、色だけが変わっている場合……油の成分が薄く残って色づいたもの
- ざらつきや盛り上がりがある場合……こびり付いた汚れが残っている状態
- 光の当たり方でつやが失われて見える場合……こすり洗いによる細かな傷
茶色っぽく色づいているけれど手ざわりがなめらかであれば、鍋そのものが傷んだわけではなく、使い込んだ跡のようなものと考えていただいて大丈夫です。
そのまま使っていただけますし、油なじみという意味ではむしろ落ち着いた状態ともいえます。
気になる場合は、ぬるま湯に台所用洗剤を溶かしてしばらく置き、やわらかいスポンジでなでるようにしてみてください。
それでも変わらないようでしたら、無理にこすらずそのままにしておくほうが鍋のためになります。
力を入れて落とそうとすると、かえって表面のつやを失ってしまい、そこに汚れがたまりやすくなるという逆の結果につながってしまうからです。
ホーロー鍋は、丁寧に扱えばずいぶん長く付き合える道具です。
色の変化は毎日のごはんを作ってきた証でもありますので、あまり神経質にならず、手ざわりと下地の状態だけを目安に見守ってあげてくださいね。
IHでも対応製品なら温度変化に気を配って天ぷらを作れる
ホーローの天ぷら鍋は、IH対応と表示されているものであれば、電磁調理器でも問題なく揚げ物に使えます。
ただし、ガス火とは熱の伝わり方が違うため、同じ感覚で使うと油温が思ったように動かず、くっつきの原因になることがあります。
ポイントは、対応表示と鍋底サイズの確認、そして加熱の仕方を少し調整することの二つだけです。
ここを押さえておけば、ホーロー鍋でもふっくらと揚げていただけますので、順番に見ていきましょう。
IH対応表示と使用できる鍋底サイズを確認する
まず確かめていただきたいのが、お手持ちの鍋がIHに対応しているかどうかです。
ホーローはガラス質を金属にコーティングしたものですので、土台の金属が鋳鉄や鋼板であれば電磁調理器で発熱しますが、アルミなど発熱しにくい素材が使われているものもあります。
鍋底や取扱説明書、パッケージに「IH対応」「電磁調理器可」といった表示があるかを、購入前に必ず見ておいてくださいね。
もう一つ見落としがちなのが、鍋底の直径です。
電磁調理器には反応する鍋底のサイズに範囲があり、小さすぎると認識されなかったり、加熱が途中で止まってしまったりすることがあります。
天ぷら鍋は口径のわりに底が小さめの形をしていることも多いので、そこは気にかけておきたいところです。
| 確認する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 鍋底の裏面 | IH対応マークや「電磁調理器可」の刻印があるか |
| 取扱説明書 | 対応する熱源の一覧に電磁調理器が含まれるか |
| 鍋底の直径 | お使いの機器が反応するサイズの範囲に収まるか |
| 鍋底の形状 | そりや変形がなく、平らに接しているか |
特に、長く使っている鍋は底がわずかに変形していることがあります。
平らな台の上に置いてみて、カタカタと揺れないかを確かめてみてください。
すき間があると熱が均一に伝わらず、一部だけが高温になってしまいます。
中央と周辺の温度差を抑える加熱方法
電磁調理器は鍋底そのものを発熱させる仕組みですので、コイルの当たる部分が先に熱くなり、鍋の周辺との温度差が生まれやすくなります。
この温度のむらが、衣が思うように固まらず鍋底にくっついてしまう一因になるのです。
ガス火のように炎が鍋の側面まで包み込んでくれるわけではない、と考えていただくと想像しやすいかもしれません。
そこで、次のような手順をおすすめします。
- 油を入れたら、まずは弱めの火力でゆっくりと温める
- 途中で一度、菜箸などで油をやさしくひとまぜして温度をならす
- 目安の温度に近づいたら、そのまま少し置いて全体を落ち着かせる
- 食材を入れたあとは、火力を上げすぎず一定を保つ
急に強い火力で加熱すると、鍋底の中央だけが高温になり、そこに触れた衣が焦げついてしまいます。
また、空の鍋をIHで加熱するのは避けてください。
ホーローは急激な温度変化に弱く、表面のガラス質が傷む原因になってしまいます。
油を入れてから加熱を始める、という順番を習慣にしておくと安心です。
もう一つ覚えておきたいのが、食材を入れると油温が一気に下がるという点です。
電磁調理器は設定した出力を保とうとしますので、下がった温度が戻るまでに少し時間がかかることがあります。
一度にたくさん入れず、油の表面の三分の一から半分程度にとどめておくと、温度が保たれて衣もきれいに固まってくれますよ。
揚げ物モードは製品ごとの指定に従う
電磁調理器には「揚げ物モード」や「温度設定機能」がついているものが多く、これは大変便利な機能です。
ただし、この機能を使うときにはお使いの機器が指定する鍋を使うことが前提になっています。
揚げ物モードは、鍋底の温度をセンサーで読み取って火力を自動で調整する仕組みです。
そのため、想定されていない厚みや素材の鍋を使うと、センサーが実際の油温とずれた値を読み取ってしまうことがあります。
ホーロー鍋は土台の金属の厚みや形状が製品ごとに異なりますので、この点はぜひ確認しておいてください。
- 調理器の説明書に、揚げ物モードで使える鍋の条件が書かれていないか見る
- 「専用鍋以外は使用しないでください」といった記載がある場合は、その指示に従う
- 指定外の鍋を使うときは、揚げ物モードではなく手動の火力設定にする
- 手動で使う場合は、温度計や衣を落として確かめる方法で油温を見る
揚げ物モードが使えないからといって、天ぷらが作れないわけではありません。
手動の火力設定でも、弱めから中くらいの範囲でゆっくり温度を上げていけば、十分においしく揚げていただけます。
むしろ、ご自分の目で油の様子を見ながら調整するほうが、鍋の癖がつかめてくるものです。
衣を少し落としてみて、底まで沈まずに途中から浮き上がってくるくらいが、多くの天ぷらにちょうどよい状態といわれています。
電磁調理器は火加減が数字で見えるぶん、一度ご自分の鍋で「この設定でこのくらいの温度になる」とつかんでしまえば、次からはとても再現しやすくなりますよ。
メモに残しておくのもおすすめです。
ホーロー製と鉄製は焦げ付きにくさだけでなく手入れの違いで選ぶ

ホーロー製と鉄製のどちらを選ぶかは、焦げ付きにくさだけで決めなくて大丈夫です。
結論から申しますと、お手入れのしやすさと、ご自分の揚げ物の頻度で選ぶほうが、長く気持ちよく使っていただけます。
どちらにも向き不向きがありますので、暮らし方に合うほうを見つけていきましょう。
まずは、それぞれの性格をざっと並べてみますね。
| 比べる点 | ホーロー製 | 鉄製 |
|---|---|---|
| 表面の状態 | ガラス質でつるりとしている | 金属がそのまま出ている |
| 汚れ落ち | 油汚れを落としやすい | 洗剤の使い方に気を配る |
| においうつり | 残りにくい | 油のにおいがなじみやすい |
| 洗ったあと | 拭いて乾かすだけでよい | 水気を飛ばす手間がいる |
| 使う頻度の目安 | ときどき揚げる方に向く | よく揚げる方に向く |
| 扱いの注意 | 強い衝撃や空焼きを避ける | 使わない期間の管理に気を配る |
この表のとおり、「揚げ物をどのくらいの頻度で作るか」で答えが変わってきます。
ホーロー製は汚れやにおいを落としやすい
ホーロー製のいちばんの持ち味は、表面がガラス質でなめらかなことです。
油の膜が食い込みにくいので、使い終わったあとの油汚れが落としやすいのです。
やわらかいスポンジと台所用洗剤で、ふつうの食器と同じように洗っていただけます。
においがうつりにくいのも、うれしいところですね。
魚の天ぷらを揚げたあとでも、洗って乾かせばにおいが残りにくいので、次に野菜を揚げるときも気になりません。
また、においが移りにくいということは、揚げ物以外にも使いやすいということです。
- 揚げ物のあと、洗って煮物やスープに使える
- 色や柄のある製品が多く、台所に出しっぱなしでもなじむ
- 酸に強い性質があり、レモンや酢を使う下味の食材も扱いやすい
- 使ったあとに油を塗って保管する手順がいらない
ひとり暮らしや、ふたり暮らしで台所の収納が限られている方には、この「一台で何役もこなせる」点がとくに助かるはずです。
ただし、いいところばかりではありません。
ホーローは急な温度変化と強い衝撃に弱いという性質があります。
熱いままの鍋に冷たい水をかけたり、金属のおたまで縁をかんかん叩いたりすると、表面を傷める原因になります。
とはいえ、これはていねいに扱えば防げることばかりです。
そっと置いて、ゆっくり冷ます。
この二つを守っていただければ、何年も気持ちよく使い続けられますよ。
鉄製は油なじみと温度保持が特徴
いっぽう鉄製は、使い込むほどに油がなじんでいく鍋です。
表面に油の層ができていくので、使うほど食材が張りつきにくくなるといわれています。
厚みのある鉄鍋は熱をたくわえる力があり、食材を入れたときの油温の下がり方がゆるやかです。
そのため、からりとした仕上がりを求める方に選ばれてきました。
ただ、この持ち味を生かすには、それなりの付き合い方が必要になります。
- 使ったあとは早めに洗い、水気をしっかり切る
- 火にかけて水分を飛ばし、完全に乾かす
- 必要に応じて薄く油をなじませておく
- 湿気の少ない場所で保管する
週に何度も揚げ物をされる方なら、この流れが自然と習慣になります。
けれど、月に一度か二度という頻度ですと、使わない期間の管理のほうが手間に感じられるかもしれません。
それから、鉄製はしっかりした厚みのものほど重くなります。
油を入れた状態で持ち上げたり、洗い場まで運んだりすることを考えますと、重さは見落とせない点です。
お店で持ってみて、片手で無理なく扱えるかどうかを確かめておくと安心ですね。
少量調理では鍋の形や深さも確認する
材質と同じくらい大切なのが、鍋の形と深さです。
とくに、おひとり分やおふたり分を揚げることが多い方は、ここを見ておくと満足度が変わってきます。
少ない油で揚げたいときは、直径が小さめで、その分しっかり深さのあるものが扱いやすくなります。
底が広い鍋に少しだけ油を入れますと、油の層が薄くなり、食材が鍋底に触れやすい状態になってしまうからです。
選ぶときに見ておきたい点を挙げてみますね。
- 深さ…油が浅くなりすぎず、食材が浮ける余裕があるか
- 口の広さ…菜箸を動かしやすく、跳ねが飛び散りにくいか
- 持ち手…片手鍋か両手鍋か、熱くなりにくい素材か
- ふたの有無…油の保管や跳ね防止に使えるか
- 油きりの網…鍋の縁に掛けられるものが付いているか
- コンロとの相性…五徳に安定して乗る底の形か
それから、収納場所の高さも先に測っておかれるとよいですよ。
深さのある鍋は思いのほか背が高く、引き出しに入らないということが起こりがちです。
使いたいときにさっと取り出せる場所にしまえるかどうかは、揚げ物を続けられるかどうかにつながります。
材質選びで迷われたときは、「洗うところまで想像できるほう」を選んでみてください。
おいしく揚がることはもちろん大切ですが、片づけまで負担にならない鍋こそが、いちばん出番の多い一台になってくれるものです。
実在するホーロー天ぷら鍋は形状や付属品も比べて選ぶ
ホーローの天ぷら鍋を実際に選ぶときは、「形状」「大きさ」「付属品」の三つを見比べていただくと、迷いがぐっと少なくなります。
同じホーロー製でも、角型と丸型では油の量や扱いやすさが変わりますし、温度計や油きり網が付いているかどうかで、揚げ物のしやすさもずいぶん違ってくるからです。
ここでは実際に販売されている定番の鍋を挙げながら、どんな方に向いているのかを一緒に見ていきましょうね。
富士ホーロー「角型天ぷら鍋 TP-20K.W」と「天ぷら鍋24cm TP-24」
富士ホーローは、ホーロー製の調理道具を長く手がけているメーカーで、天ぷら鍋も定番として知られています。
「角型天ぷら鍋 TP-20K.W」は、その名のとおり四角い形が特徴の鍋です。
角型は同じ油の量でも油の層が深くなりやすく、少なめの油でもしっかり食材を泳がせやすいという良さがあります。
白いホーローの見た目もやわらかく、キッチンに出しっぱなしにしていても気にならないという声が多い一台ですね。
いっぽうの「天ぷら鍋24cm TP-24」は、丸型で口径にゆとりのあるタイプです。
えび天やかき揚げなど、少し大きめのものを何個か同時に揚げたいときには、こちらのほうが余裕を持って作業できます。
ご家族の分をまとめて揚げる機会が多い方や、鶏の唐揚げなども作りたい方に向いていますよ。
どちらもホーローらしくにおいや色移りが残りにくいので、天ぷらのあとに揚げ油をそのまま保存しておきたい方にも使いやすい仕様です。
高木金属工業「ホーロー天ぷら鍋 角型」と「ホーロー天ぷら鍋24cm」
高木金属工業も、ホーロー加工の調理器具を扱っているメーカーとして知られています。
「ホーロー天ぷら鍋 角型」は、こちらも角型で、コンロまわりに収まりやすいすっきりとした形が特徴です。
角のある形は五徳に置いたときの安定感もあり、菜箸を鍋のふちに沿わせて動かしやすいという使い勝手の良さがあります。
「ホーロー天ぷら鍋24cm」は丸型で、一般的な家庭のコンロに合わせやすいサイズ感です。
揚げ物専用として一台持っておきたい、という場合に選ばれやすいタイプですね。
製品によっては油きり網や温度計が付属しているものもありますので、購入の前に商品ページで内容をご確認いただくと安心です。
付属品の有無は同じ商品名でも仕様変更されることがありますから、購入時点の表示を見ていただくのがいちばん確実ですよ。
角型・小型・24cmタイプの使い分け
形やサイズは、「誰の分を、何を揚げるか」で決めていただくと失敗しにくくなります。
それぞれの向き不向きを整理してみますね。
| タイプ | 向いている使い方 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 角型 | 少なめの油で揚げたい方、コンロまわりを広く使いたい方 | 大きな食材を何枚も並べるには幅の余裕を確認 |
| 小型・小径タイプ | おひとり分やお弁当のおかずをさっと揚げたいとき | 一度に入れる量が多いと油温が下がりやすい |
| 24cmなど大きめの丸型 | ご家族分をまとめて、大きめの食材も揚げたいとき | 油の使用量が増えるため、保存や処理の手間も考える |
迷われたときは、ふだんいちばん多く作る量を思い浮かべてみてください。
週末に家族の分をまとめて揚げる方と、平日の夜にひとり分だけ作る方とでは、心地よく使えるサイズが違ってきます。
また、大は小を兼ねると思われがちですが、天ぷら鍋に関してはそうとも限りません。
大きな鍋に少しだけ油を入れて使いますと、油が浅くなって食材が底に触れやすくなってしまいますから、ご自分の使う量に合った大きさを選ばれるほうが結果的に扱いやすいのです。
温度計や油はねガードなど付属品の確認
天ぷら鍋を選ぶときは、鍋本体だけでなく付属品まで含めて比べると、買ったあとの満足度が変わります。
とくに温度計は、油の温度を目で確かめられるので、揚げ物に慣れていない方ほど心強い味方になってくれますよ。
確認しておきたい付属品を挙げてみますね。
- 温度計…ふたやふちに取り付けるタイプが多く、油温の目安がひと目でわかる
- 油きり網…鍋のふちに掛けて揚げたてを置ける。余分な油を鍋に戻せて後片づけも楽
- 油はねガード…衣が跳ねたときにコンロまわりの汚れを抑えられる
- ふた…使った油の保管や、ほこりよけとして便利
- 注ぎ口…油を移すときにこぼれにくく、片づけの負担が減る
温度計は別売りで買い足すこともできますが、鍋に合う取り付け方かどうかは事前に見ておいてくださいね。
角型の鍋に丸型用のクリップは合わないこともありますので、そこは意外と見落としやすいところです。
油はねガードについては、付属していない場合でも、市販のふたやガードで代用できます。
そして忘れずに確認していただきたいのが、お使いの熱源に対応しているかどうかです。
商品ページの対応熱源の欄には、ガス火のみか、電磁調理器にも対応しているかが記載されています。
同じシリーズでもモデルによって違うことがありますので、注文の前にもう一度目を通していただけると安心ですよ。
鍋そのものの見た目に惹かれて選ぶのも、もちろん素敵なことです。
そのうえで、付属品と熱源の対応という二つを添えて考えていただければ、長く気持ちよく使える一台に出会えるはずです。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- ホーロー天ぷら鍋のくっつきは材質よりも油温や油量など使い方が主な原因
- くっつく理由は「油の温度」「油の量」「食材と衣の状態」「入れ方」の4つに集約される
- 食材の水分をしっかり拭き、衣は揚げる直前に作ると鍋底に張りつきにくい
- 食材が底に触れ続けない量の油を入れておくことが下ごしらえの基本
- 170〜180度前後を保ち、入れた直後は箸で触らないのが上手に揚げるコツ
- くっついたときは無理に引きはがさず、衣が固まるまで待って周囲からやさしく外す
- 焦げや衣のこびり付きはお湯でふやかしてから落とし、硬いものでこすらない
- 空焼き・急な温度変化・金属の道具を避けると表面のガラス質を傷めにくい
- IHでは対応表示と鍋底サイズを確かめ、加熱の仕方を少し調整すると安心
- ホーロー製と鉄製は手入れのしやすさと揚げ物の頻度で選ぶと長く使える
揚げ物は、はじめのうちは思うようにいかないことも多いものですね。
でも、くっついてしまう原因のほとんどは、ちょっとした温度や油の量、そして待つ時間の長さで変わってくるものなんですよ。
水気を拭く、油をたっぷり入れる、入れたらしばらく触らない。
この三つを覚えておくだけでも、次に揚げるときの手ごたえがきっと変わってきます。
うまくいかない日があっても、それは腕のせいではなく、少し条件がずれていただけのことです。
お手入れも、力を入れてこするよりも、ゆっくりふやかして待つほうが鍋にもやさしく、あなたの手も疲れません。
お気に入りのホーロー鍋と少しずつ仲良くなりながら、揚げたてのおいしさを楽しむ時間を重ねていってくださいね。


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